- JP
- EN
研究の背景
私たち人間の身体は約37兆個の細胞で構成されています。細胞は日々の入れ替えやケガ、病気、老化などで損なわれていきますが、損なわれた細胞を修復するのが、幹細胞と言われる特殊な細胞です。幹細胞は自らが様々な細胞に分化(変身)し、自ら再生する大きなパワーを持つ細胞です。幹細胞を培養するときに分泌される幹細胞培養上清液には数千種類の成長因子が含まれており、これを使用することで、体内の細胞組織の再生を促し、幹細胞移植治療と同等の治療効果を期待できることが近年の研究で分かってきました。
乳歯由来歯髄幹細胞培養上清液のメカニズム解明
本共同研究では、U-Factor取締役で幹細胞培養上清液研究の第一人者である、名古屋大学大学院医学研究科の上田実名誉教授が開発した乳歯髄由来の幹細胞培養上清液を使用します。U-Factorより幹細胞培養上清液を提供し、産総研にて幹細胞培養上清液のメカニズムや、臨床研究に向けた様々な基礎研究を行っていく予定です。乳歯由来の幹細胞培養上清液は、他の間葉系由来の幹細胞培養上清液に比べて成長因子を豊富に含んでおり、体内の幹細胞を活性化させる効果を期待できます。
- U-Factor
-
- 研究に必要な費用や幹細胞培養上清液の提供
- 産業技術総合研究所
-
- 研究テーマの検討や設定
- 研究の実務運用
新しい培養上清液の発明、特許出願
2021年8月から約2年間の共同研究において、従来の幹細胞培養上清液と比較して、細胞活性度合いが高まる上清液を作ることに成功しました。これは治療用製剤として実用化を目指すにあたって、大変重要な発明となります。この新しい培養上清液を「細胞賦活化剤」として、当社は特許を出願しました。
さらに、2023年8月より、この上清液を大量に培養できる実験系を構築し、大量培養実験をスタートする予定です。幹細胞培養上清液の製剤化へ向けて、開発を進めていきます。
- 発明の名称
-
- 細胞賦活化剤
- 出願人
-
- 株式会社U-Factor
- 発明者
-
- 舒 宇静、堀 圭吾(以上、当社)
- 寺村 裕治、大庭 義郎、倉持 明子(以上、産総研)
- 出願番号
-
- 特願2023-086930
- 出願日
-
- 2023年5月26日
製剤化に向けた研究開発
乳歯由来歯髄幹細胞培養上清液で、アルツハイマー型認知症などの難治性疾患を対象とした治療薬の製剤化を目指している創薬ベンチャーの株式会社U-Factor(本社:東京都千代田区、代表取締役:井島英博、以下:当社)は、国内最大級の公的研究機関である国立研究開発法人 産業技術総合研究所(東京本部:東京都千代田区、理事長:石村 和彦、以下:産総研)の100%出資による、株式会社AIST Solutions(本社:東京都港区、代表取締役 逢坂 清治)と共同研究契約を締結いたしました。2023年9月より、共同研究を開始したしました。